アオジ雄
最近はコロナ禍で遠出もできず、天候も悪くあまりフィールドに出られないのでおとなしく文献を読んでみたり標本をつくったりしています。
ところで、Featherbase というオンライン羽図鑑サイトをご存知でしょうか。世界中の鳥類の羽標本がオンラインで閲覧でき、羽の大きさをモニター上で計測できたりもする画期的なサイトです。
部位の識別ができ、ある程度見当を付けられないと調べづらい点はありますが、とにかく多くの種の羽を見ることができるのはとても魅力的です。といっても掲載種がヨーロッパの鳥に偏っているので、日本を含むアジアや極東の鳥は普通種でも掲載されていない種が多くあります。ぜひ日本の羽屋勢で充実させていけたらと思います。
私もよく揃った標本はスキャンをとって登録を進めているところですが、その中で最近作った標本についてブログにも書いておきます。

アオジ 雄
4月 京都府
性別は分かりやすい個体でしたが、齢判定が困難でした。尾羽は幼羽から換羽済みでしたが、第1回冬羽でも尾羽を換えている個体がいるようです。全体的に摩耗は殆どなく、成鳥のように見えましたがそれだけでははっきりしませんね。渡り前(渡り中だったかも)の時期らしく、皮下脂肪がかなりついている個体でした。
羽画像はFeatherbaseのページの方が高画質で見れるはずなのでそちらのリンクを貼っておきます。
残念ながら、サイト上では1つのスキャンの中で各羽の部位はわからないので、自分の標本だけでもと思い部位名を書き込んでみました。少し見づらいかもしれませんが、風切や尾羽はもちろん、体羽の部位ごとの形状の違いにも着目してみると面白いと思います。部位の名称は茂田ほか(1986)や今年出版されたMoult and Ageing of European Passerinesの第2版を参考にしました。下雨覆の初列と次列の区別がなされていなかったので、ここではそれぞれPrimary、Secondaryを付けてみました。
参考
石本あゆみ(1992)アオジEmberiza spodocephala personata幼鳥(第1回冬羽)の性の識別について.山階鳥研報24:1-12
茂田 良光, 佐野 裕彦(1986)鳥体外部の名称.標識協会誌1(3):56-69
Lars Svensson(2011)ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド
Lukas Jenni,Raffael Winkler(2020)Moult and Ageing of European Passerines.Second Edition
ところで、Featherbase というオンライン羽図鑑サイトをご存知でしょうか。世界中の鳥類の羽標本がオンラインで閲覧でき、羽の大きさをモニター上で計測できたりもする画期的なサイトです。
部位の識別ができ、ある程度見当を付けられないと調べづらい点はありますが、とにかく多くの種の羽を見ることができるのはとても魅力的です。といっても掲載種がヨーロッパの鳥に偏っているので、日本を含むアジアや極東の鳥は普通種でも掲載されていない種が多くあります。ぜひ日本の羽屋勢で充実させていけたらと思います。
私もよく揃った標本はスキャンをとって登録を進めているところですが、その中で最近作った標本についてブログにも書いておきます。

アオジ 雄
4月 京都府
性別は分かりやすい個体でしたが、齢判定が困難でした。尾羽は幼羽から換羽済みでしたが、第1回冬羽でも尾羽を換えている個体がいるようです。全体的に摩耗は殆どなく、成鳥のように見えましたがそれだけでははっきりしませんね。渡り前(渡り中だったかも)の時期らしく、皮下脂肪がかなりついている個体でした。
羽画像はFeatherbaseのページの方が高画質で見れるはずなのでそちらのリンクを貼っておきます。
残念ながら、サイト上では1つのスキャンの中で各羽の部位はわからないので、自分の標本だけでもと思い部位名を書き込んでみました。少し見づらいかもしれませんが、風切や尾羽はもちろん、体羽の部位ごとの形状の違いにも着目してみると面白いと思います。部位の名称は茂田ほか(1986)や今年出版されたMoult and Ageing of European Passerinesの第2版を参考にしました。下雨覆の初列と次列の区別がなされていなかったので、ここではそれぞれPrimary、Secondaryを付けてみました。
参考
石本あゆみ(1992)アオジEmberiza spodocephala personata幼鳥(第1回冬羽)の性の識別について.山階鳥研報24:1-12
茂田 良光, 佐野 裕彦(1986)鳥体外部の名称.標識協会誌1(3):56-69
Lars Svensson(2011)ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド
Lukas Jenni,Raffael Winkler(2020)Moult and Ageing of European Passerines.Second Edition
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ハイタカ雌
去年の春に貯水池の畔で散乱していたもの。フクロウかオオタカにでも襲われたのでしょう。

ハイタカ雌(Accipiter nisus/Eurasian Sparrowhawk) 2019/3/16 兵庫県
推定第2回冬 初列風切
何度か不揃いの食痕を見つけたことはあったのですが、殆ど揃っているのは初めてでした。サイズや色味から雌と推定。

裏面は縞模様のコントラストがより強く、これらの羽が飛翔を下から見上げた時に見える明瞭な鷹斑を構成しているのが分かります。

次列・三列風切など
コンプリートはできず。初列風切と合わせていかにもAccipiter属らしい美しい羽です。
一部に褐色味が強く、摩耗具合の異なる幼羽らしき次列風切が残っている(右から4枚目、7枚目)ことから第2回冬(第3暦年春)の個体と考えました。

風切と初列雨覆もまとめて並べてみると多分こんな感じ。内弁の白色部はより内側の羽の外弁により隠されます。
翼先分離は6枚。内弁や外弁に欠刻のある初列風切が形づくっています。

右側その他の部位。次列・三列風切(右)、雨覆、小翼羽、肩羽、下尾筒、脇羽、などなど…分からなかったものもあった気がします(撮ってから随分たつので忘れました汗)。こちらにも淡色の羽縁のある羽毛がわずかに混ざっています。採集時から注意して探してはいたのですが、残念ながら尾羽は1枚も見つかりませんでした。どこか別の場所で抜かれたのかもしれませんね。

ハイタカ雌(Accipiter nisus/Eurasian Sparrowhawk) 2019/3/16 兵庫県
推定第2回冬 初列風切
何度か不揃いの食痕を見つけたことはあったのですが、殆ど揃っているのは初めてでした。サイズや色味から雌と推定。

裏面は縞模様のコントラストがより強く、これらの羽が飛翔を下から見上げた時に見える明瞭な鷹斑を構成しているのが分かります。

次列・三列風切など
コンプリートはできず。初列風切と合わせていかにもAccipiter属らしい美しい羽です。
一部に褐色味が強く、摩耗具合の異なる幼羽らしき次列風切が残っている(右から4枚目、7枚目)ことから第2回冬(第3暦年春)の個体と考えました。

風切と初列雨覆もまとめて並べてみると多分こんな感じ。内弁の白色部はより内側の羽の外弁により隠されます。
翼先分離は6枚。内弁や外弁に欠刻のある初列風切が形づくっています。

右側その他の部位。次列・三列風切(右)、雨覆、小翼羽、肩羽、下尾筒、脇羽、などなど…分からなかったものもあった気がします(撮ってから随分たつので忘れました汗)。こちらにも淡色の羽縁のある羽毛がわずかに混ざっています。採集時から注意して探してはいたのですが、残念ながら尾羽は1枚も見つかりませんでした。どこか別の場所で抜かれたのかもしれませんね。
セグロセキレイの尾羽の羽縁
結局受験期の更新はほとんど出来ず、遅ればせながらご報告まで。とりあえず大学生になってます。
去年の6月に書こうと思って下書きのまま放置していたものをやっと今(2019年12月)になって更新するという怠慢ぶりです(汗)。
さて、数年前のものですがセグロセキレイの尾羽で気になる個体を手に入れました。
セグロセキレイ(Motacilla grandis/Japanese Wagtail)
尾羽 白バック
左T3,4は伸長中で、櫛状の変異?のようです。模様はほぼ左右対称ですが、T5は左右で白色部の入り方が若干異なっています。摩耗具合はどの羽もほぼ同じなので、旧羽と新羽の差というわけではないようです。個人的にはこのくらい左右非対称な個体は一定数いるのではと考えていますが、十分な数を見られているわけでもないのでよくわかりません。
黒バック
少しアップで見ると白い羽縁が入るのが分かります。よく見るハクセキレイほど顕著ではないものの、細い羽縁がありました。ハクセキレイのT1~4には白い羽縁が入り、セグロセキレイには入らないのが一般的なようです。今までも羽単体で落ちていた時に、羽縁のあるものはハクだろうと思って見ていたので、初見で困惑してしまいました。詳しい方に伺ったところ、この程度なら入る個体もいるのではとのご意見を頂きました。実際は羽縁の幅もより細く、摩耗具合も合わせてよく見れば分かるかもしれませんが、なかなか難しそうです。
当然といえば当然ですが、特に一つの特徴のみでの判断だとこういったイレギュラー(?)な個体を見落とす可能性もあるなあと再認識させられました。といってもハク/セグロセキレイのT1~4では羽縁以外の外部形態の識別点を知らないのでどうしようもないのですが、そもそもすべてを完璧に同定しようとするのが不可能に近いので仕方ないかなと。この個体は風切なども一式揃っているので、そのうちアップするかもしれません。
去年の6月に書こうと思って下書きのまま放置していたものをやっと今(2019年12月)になって更新するという怠慢ぶりです(汗)。
さて、数年前のものですがセグロセキレイの尾羽で気になる個体を手に入れました。
セグロセキレイ(Motacilla grandis/Japanese Wagtail)
尾羽 白バック
左T3,4は伸長中で、櫛状の変異?のようです。模様はほぼ左右対称ですが、T5は左右で白色部の入り方が若干異なっています。摩耗具合はどの羽もほぼ同じなので、旧羽と新羽の差というわけではないようです。個人的にはこのくらい左右非対称な個体は一定数いるのではと考えていますが、十分な数を見られているわけでもないのでよくわかりません。
黒バック
少しアップで見ると白い羽縁が入るのが分かります。よく見るハクセキレイほど顕著ではないものの、細い羽縁がありました。ハクセキレイのT1~4には白い羽縁が入り、セグロセキレイには入らないのが一般的なようです。今までも羽単体で落ちていた時に、羽縁のあるものはハクだろうと思って見ていたので、初見で困惑してしまいました。詳しい方に伺ったところ、この程度なら入る個体もいるのではとのご意見を頂きました。実際は羽縁の幅もより細く、摩耗具合も合わせてよく見れば分かるかもしれませんが、なかなか難しそうです。
当然といえば当然ですが、特に一つの特徴のみでの判断だとこういったイレギュラー(?)な個体を見落とす可能性もあるなあと再認識させられました。といってもハク/セグロセキレイのT1~4では羽縁以外の外部形態の識別点を知らないのでどうしようもないのですが、そもそもすべてを完璧に同定しようとするのが不可能に近いので仕方ないかなと。この個体は風切なども一式揃っているので、そのうちアップするかもしれません。
スズガモの翼羽など
模試やら定期テストに押しつぶされて忙殺されていましたが一応ひと段落したので久々に更新。季節外れなのは否めませんがなかなか更新できていないので書けるときにアップしておこうと思い、昨年の春に河口で食痕から拾ったスズガモの羽根について書くことにしました。
本個体は河口の中州に散らばっていたのを見つけたのですが、中には肉片ごと数枚まとめてちぎられているような部分もあり、よく見かけるタカ類の食痕とはいささか違った雰囲気を感じました。かといって捕食者が何なのか僕には分かりませんでしたが、ハヤブサなんかだとハイタカ類やクマタカなんかとはバラし方が少し違っていたりするのでしょうか。前に紹介したカモメと同じ河口で拾ったのですがあのカモメも皮膚の一部に次列風切と大雨覆、下雨覆が付いた状態で落ちていたのがいくつかあり、今回のスズガモと通じる部分があるように思います。
スズガモ(Aythya marila /Greater Scaup)
雄 右風切
初列風切はP9,8,5,4,3,2,1で、P10,7,6が欠けています(反対側と照らし合わせました)。次列風切はよくわからないのでとりあえず適当に外側のものから並べました。並べたつもりですが画像の右から2枚目の羽根はもっと外側ですね、、、(汗)

左初列風切
最外初列風切以外は揃えられたでしょうか・・・外側から徐々に入る白色部のグラデーションが美しい。羽根の抜き方が荒いのか傷んでいる羽根が多く見受けられます。

左次列風切
こちらも右側と比べるとだいぶ揃えられたように思います。並びは自信ないですが大体あってるはずです(苦笑)
各羽根の内側の白色部が連なって野外で飛翔時などに見える白帯となっています。気になるのは先端の黒色部に入る淡色の細かい模様ですが、ネットなどで少し調べてみると雌や雄の若い個体ではほとんどそれがないものがあり、雌雄年齢差があったりするのかななどと考えたりしました。亜種nearcticaはより体上面の波状斑が粗いとされ、次列風切先端の細かい模様も雌雄ともにほとんどないようでした。もちろん個体差もあると思うのでそのあたりも考える必要がありますが。
キンクロハジロよりはひとまわり大きいようで、大きさも見分ける手掛かりにはなりそうです。

上段左から次列大雨覆、小翼羽、初列大雨覆
中断左から手根大雨覆?、初列小雨覆?小雨覆、中雨覆
下段左から上膊風切、尾羽、肩羽?、下雨覆
雨覆の霜をふったようなちりめん模様がとても美しい。大雨覆や小翼羽のちりめん模様の出方には個体差があるのか、それとも年齢差によるものなのか分かりませんでしたが気になります。他のサイトを見る限りでは少しちりめん模様の範囲が狭いですが雄成鳥としてもいいのではないかと思いました。だとすれば1枚しかないですが尾羽の先が割れていないのも納得がいきます。尾羽は伸長中ですが他の海ガモと識別できる気がしません。海ガモの尾羽はなかなか難しく感じます・・・。
参考:決定版日本のカモ識別図鑑
本個体は河口の中州に散らばっていたのを見つけたのですが、中には肉片ごと数枚まとめてちぎられているような部分もあり、よく見かけるタカ類の食痕とはいささか違った雰囲気を感じました。かといって捕食者が何なのか僕には分かりませんでしたが、ハヤブサなんかだとハイタカ類やクマタカなんかとはバラし方が少し違っていたりするのでしょうか。前に紹介したカモメと同じ河口で拾ったのですがあのカモメも皮膚の一部に次列風切と大雨覆、下雨覆が付いた状態で落ちていたのがいくつかあり、今回のスズガモと通じる部分があるように思います。
スズガモ(Aythya marila /Greater Scaup)
雄 右風切
初列風切はP9,8,5,4,3,2,1で、P10,7,6が欠けています(反対側と照らし合わせました)。次列風切はよくわからないのでとりあえず適当に外側のものから並べました。並べたつもりですが画像の右から2枚目の羽根はもっと外側ですね、、、(汗)

左初列風切
最外初列風切以外は揃えられたでしょうか・・・外側から徐々に入る白色部のグラデーションが美しい。羽根の抜き方が荒いのか傷んでいる羽根が多く見受けられます。

左次列風切
こちらも右側と比べるとだいぶ揃えられたように思います。並びは自信ないですが大体あってるはずです(苦笑)
各羽根の内側の白色部が連なって野外で飛翔時などに見える白帯となっています。気になるのは先端の黒色部に入る淡色の細かい模様ですが、ネットなどで少し調べてみると雌や雄の若い個体ではほとんどそれがないものがあり、雌雄年齢差があったりするのかななどと考えたりしました。亜種nearcticaはより体上面の波状斑が粗いとされ、次列風切先端の細かい模様も雌雄ともにほとんどないようでした。もちろん個体差もあると思うのでそのあたりも考える必要がありますが。
キンクロハジロよりはひとまわり大きいようで、大きさも見分ける手掛かりにはなりそうです。

上段左から次列大雨覆、小翼羽、初列大雨覆
中断左から手根大雨覆?、初列小雨覆?小雨覆、中雨覆
下段左から上膊風切、尾羽、肩羽?、下雨覆
雨覆の霜をふったようなちりめん模様がとても美しい。大雨覆や小翼羽のちりめん模様の出方には個体差があるのか、それとも年齢差によるものなのか分かりませんでしたが気になります。他のサイトを見る限りでは少しちりめん模様の範囲が狭いですが雄成鳥としてもいいのではないかと思いました。だとすれば1枚しかないですが尾羽の先が割れていないのも納得がいきます。尾羽は伸長中ですが他の海ガモと識別できる気がしません。海ガモの尾羽はなかなか難しく感じます・・・。
参考:決定版日本のカモ識別図鑑
コガモ雌非生殖羽
いつ拾ったのかツッコミを入れたくなるような羽根がどんどん出てきます。このままでは羽根に埋もれた大学生活を送ることになりかねないので少しずつ洗って片づけてはいるのですが…(笑)。
それはさておき、去年入手したコガモについてまとめておこうと思います。いつもクリーニングしながらいろいろ考えるのですが、後からなんでこう識別したんだろうなどと思ってしまうことも少なくありません。なので最近はここでそのようなことを整理しておきたいと思って個人的な考察を書いているつもりです。その割には全然更新していませんが(苦笑)。
今回のコガモは雌で、胸から腹にかけては大きな斑があり脇の最上列と肩羽は丸みを帯びていたので成鳥と判断しました。大雨覆の白線だけを見ると幼鳥としても問題なさそうな気はしましたが個体差があるようなのでよく分かりませんでした。片翼は翼標本にしたので羽根に翼の写真も交えて書いていきたいと思います。

コガモ(Anas crecca /Eurasian Teal)
雌非生殖羽 初列風切
一様に少し褐色味を帯びた灰色で淡色の細い羽縁がありますが、目立った特徴はないように見えます。内弁基部の淡色部にはかすれ模様は見られません。外弁と内弁の羽軸周辺、および先端部と内弁のコントラストは手持ちのオカヨシガモよりは弱いです。実際に野外で拾ったときは大きさが一番のポイントとなりそうです。恐らくトモエガモやシマアジも同じくらいの大きさだとは思いますが、体に対する翼の長さが違っていて羽根だけで見ると大きさに明瞭な差がある可能性も否定できません。もっと調べれば情報がありそうな気もしますがとりあえず現段階ではこれで。もし何か分かれば追記するかもしれませんが・・・。なお、シマアジについては羽軸が明瞭に白っぽくなるようなので除外できそうです。

次列・三列風切
これは分かりやすい羽根ですね!翼鏡が美しく見栄えもします。翼鏡はS5から入り始め、内側にいくにつれて基部から徐々に範囲が広がっています。緑色に輝きますが角度によっては金色がかります。S1の外弁には広く淡色のかすれ模様が入ります。
そして翼鏡に気を取られて忘れてしまいそうなのがS1からS5にかけて外弁基部に見られる白色部です。野外ではほとんど見えないものだと思いますが、この1個体しか揃えていないのですべての個体において見られるものなのかどうかは分かりません。よければお手元のコガモの次列風切を眺めて確認してみてください(笑)。
先端の白色部は細めで約3~4mm。
三列風切や写真は撮っていませんが肩羽に橙褐色の斑は見られないので非生殖羽と判断しました。

翼鏡周辺は角度にもよりますが野外ではこんな感じで見えているはずです。

次列風切S1のかすれ模様。書いていませんでしたが、初列風切の淡色の羽縁は内側のものほど幅広くなっていました。

初列雨覆、小翼羽
白バックなので分かりづらいですが淡色の不明瞭な羽縁がありました。1枚だけ拾ったらサイズでなんとなく絞れそうな気もしますが難しそうです。

大雨覆
先端の淡色部は内側にいくにつれ細く羽縁状に変化し、橙色みが強くなります。

中雨覆、小雨覆
撮ってはみたものの、さすがにどうしようもなさが出てきました(苦笑)。僕は拾ってパッと識別できる自信がありません。

下初列雨覆、下大雨覆
まあこんなもんかと・・・。下雨覆ってカルガモなんかは換羽期に他の羽根と一緒にボロボロ落としてる印象ですが、冬場水辺に落ちている羽根たちを眺めていても個人的にあまり落ちてた記憶がありません。繁殖地で換羽しているのでしょうか。
ちなみに冬場水辺に落ちてるカモ類の羽根は体羽、内側次列風切、三列風切、尾羽がほとんどを占めているイメージです。どれも秋~春の換羽を考えると納得がいきますね。
参考:決定版日本のカモ識別図鑑
それはさておき、去年入手したコガモについてまとめておこうと思います。いつもクリーニングしながらいろいろ考えるのですが、後からなんでこう識別したんだろうなどと思ってしまうことも少なくありません。なので最近はここでそのようなことを整理しておきたいと思って個人的な考察を書いているつもりです。その割には全然更新していませんが(苦笑)。
今回のコガモは雌で、胸から腹にかけては大きな斑があり脇の最上列と肩羽は丸みを帯びていたので成鳥と判断しました。大雨覆の白線だけを見ると幼鳥としても問題なさそうな気はしましたが個体差があるようなのでよく分かりませんでした。片翼は翼標本にしたので羽根に翼の写真も交えて書いていきたいと思います。

コガモ(Anas crecca /Eurasian Teal)
雌非生殖羽 初列風切
一様に少し褐色味を帯びた灰色で淡色の細い羽縁がありますが、目立った特徴はないように見えます。内弁基部の淡色部にはかすれ模様は見られません。外弁と内弁の羽軸周辺、および先端部と内弁のコントラストは手持ちのオカヨシガモよりは弱いです。実際に野外で拾ったときは大きさが一番のポイントとなりそうです。恐らくトモエガモやシマアジも同じくらいの大きさだとは思いますが、体に対する翼の長さが違っていて羽根だけで見ると大きさに明瞭な差がある可能性も否定できません。もっと調べれば情報がありそうな気もしますがとりあえず現段階ではこれで。もし何か分かれば追記するかもしれませんが・・・。なお、シマアジについては羽軸が明瞭に白っぽくなるようなので除外できそうです。

次列・三列風切
これは分かりやすい羽根ですね!翼鏡が美しく見栄えもします。翼鏡はS5から入り始め、内側にいくにつれて基部から徐々に範囲が広がっています。緑色に輝きますが角度によっては金色がかります。S1の外弁には広く淡色のかすれ模様が入ります。
そして翼鏡に気を取られて忘れてしまいそうなのがS1からS5にかけて外弁基部に見られる白色部です。野外ではほとんど見えないものだと思いますが、この1個体しか揃えていないのですべての個体において見られるものなのかどうかは分かりません。よければお手元のコガモの次列風切を眺めて確認してみてください(笑)。
先端の白色部は細めで約3~4mm。
三列風切や写真は撮っていませんが肩羽に橙褐色の斑は見られないので非生殖羽と判断しました。

翼鏡周辺は角度にもよりますが野外ではこんな感じで見えているはずです。

次列風切S1のかすれ模様。書いていませんでしたが、初列風切の淡色の羽縁は内側のものほど幅広くなっていました。

初列雨覆、小翼羽
白バックなので分かりづらいですが淡色の不明瞭な羽縁がありました。1枚だけ拾ったらサイズでなんとなく絞れそうな気もしますが難しそうです。

大雨覆
先端の淡色部は内側にいくにつれ細く羽縁状に変化し、橙色みが強くなります。

中雨覆、小雨覆
撮ってはみたものの、さすがにどうしようもなさが出てきました(苦笑)。僕は拾ってパッと識別できる自信がありません。

下初列雨覆、下大雨覆
まあこんなもんかと・・・。下雨覆ってカルガモなんかは換羽期に他の羽根と一緒にボロボロ落としてる印象ですが、冬場水辺に落ちている羽根たちを眺めていても個人的にあまり落ちてた記憶がありません。繁殖地で換羽しているのでしょうか。
ちなみに冬場水辺に落ちてるカモ類の羽根は体羽、内側次列風切、三列風切、尾羽がほとんどを占めているイメージです。どれも秋~春の換羽を考えると納得がいきますね。
参考:決定版日本のカモ識別図鑑