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スズガモの翼羽など

模試やら定期テストに押しつぶされて忙殺されていましたが一応ひと段落したので久々に更新。季節外れなのは否めませんがなかなか更新できていないので書けるときにアップしておこうと思い、昨年の春に河口で食痕から拾ったスズガモの羽根について書くことにしました。

本個体は河口の中州に散らばっていたのを見つけたのですが、中には肉片ごと数枚まとめてちぎられているような部分もあり、よく見かけるタカ類の食痕とはいささか違った雰囲気を感じました。かといって捕食者が何なのか僕には分かりませんでしたが、ハヤブサなんかだとハイタカ類やクマタカなんかとはバラし方が少し違っていたりするのでしょうか。前に紹介したカモメと同じ河口で拾ったのですがあのカモメも皮膚の一部に次列風切と大雨覆、下雨覆が付いた状態で落ちていたのがいくつかあり、今回のスズガモと通じる部分があるように思います。

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スズガモ(Aythya marila /Greater Scaup)
雄 右風切
初列風切はP9,8,5,4,3,2,1で、P10,7,6が欠けています(反対側と照らし合わせました)。次列風切はよくわからないのでとりあえず適当に外側のものから並べました。並べたつもりですが画像の右から2枚目の羽根はもっと外側ですね、、、(汗)

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左初列風切
最外初列風切以外は揃えられたでしょうか・・・外側から徐々に入る白色部のグラデーションが美しい。羽根の抜き方が荒いのか傷んでいる羽根が多く見受けられます。

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左次列風切
こちらも右側と比べるとだいぶ揃えられたように思います。並びは自信ないですが大体あってるはずです(苦笑)
各羽根の内側の白色部が連なって野外で飛翔時などに見える白帯となっています。気になるのは先端の黒色部に入る淡色の細かい模様ですが、ネットなどで少し調べてみると雌や雄の若い個体ではほとんどそれがないものがあり、雌雄年齢差があったりするのかななどと考えたりしました。亜種nearcticaはより体上面の波状斑が粗いとされ、次列風切先端の細かい模様も雌雄ともにほとんどないようでした。もちろん個体差もあると思うのでそのあたりも考える必要がありますが。
キンクロハジロよりはひとまわり大きいようで、大きさも見分ける手掛かりにはなりそうです。

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上段左から次列大雨覆、小翼羽、初列大雨覆
中断左から手根大雨覆?、初列小雨覆?小雨覆、中雨覆
下段左から上膊風切、尾羽、肩羽?、下雨覆
雨覆の霜をふったようなちりめん模様がとても美しい。大雨覆や小翼羽のちりめん模様の出方には個体差があるのか、それとも年齢差によるものなのか分かりませんでしたが気になります。他のサイトを見る限りでは少しちりめん模様の範囲が狭いですが雄成鳥としてもいいのではないかと思いました。だとすれば1枚しかないですが尾羽の先が割れていないのも納得がいきます。尾羽は伸長中ですが他の海ガモと識別できる気がしません。海ガモの尾羽はなかなか難しく感じます・・・。

参考:決定版日本のカモ識別図鑑
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コガモ雌非生殖羽

いつ拾ったのかツッコミを入れたくなるような羽根がどんどん出てきます。このままでは羽根に埋もれた大学生活を送ることになりかねないので少しずつ洗って片づけてはいるのですが…(笑)。


それはさておき、去年入手したコガモについてまとめておこうと思います。いつもクリーニングしながらいろいろ考えるのですが、後からなんでこう識別したんだろうなどと思ってしまうことも少なくありません。なので最近はここでそのようなことを整理しておきたいと思って個人的な考察を書いているつもりです。その割には全然更新していませんが(苦笑)。

今回のコガモは雌で、胸から腹にかけては大きな斑があり脇の最上列と肩羽は丸みを帯びていたので成鳥と判断しました。大雨覆の白線だけを見ると幼鳥としても問題なさそうな気はしましたが個体差があるようなのでよく分かりませんでした。片翼は翼標本にしたので羽根に翼の写真も交えて書いていきたいと思います。

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コガモ(Anas crecca /Eurasian Teal)
雌非生殖羽 初列風切
一様に少し褐色味を帯びた灰色で淡色の細い羽縁がありますが、目立った特徴はないように見えます。内弁基部の淡色部にはかすれ模様は見られません。外弁と内弁の羽軸周辺、および先端部と内弁のコントラストは手持ちのオカヨシガモよりは弱いです。実際に野外で拾ったときは大きさが一番のポイントとなりそうです。恐らくトモエガモやシマアジも同じくらいの大きさだとは思いますが、体に対する翼の長さが違っていて羽根だけで見ると大きさに明瞭な差がある可能性も否定できません。もっと調べれば情報がありそうな気もしますがとりあえず現段階ではこれで。もし何か分かれば追記するかもしれませんが・・・。なお、シマアジについては羽軸が明瞭に白っぽくなるようなので除外できそうです。

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次列・三列風切
これは分かりやすい羽根ですね!翼鏡が美しく見栄えもします。翼鏡はS5から入り始め、内側にいくにつれて基部から徐々に範囲が広がっています。緑色に輝きますが角度によっては金色がかります。S1の外弁には広く淡色のかすれ模様が入ります。
そして翼鏡に気を取られて忘れてしまいそうなのがS1からS5にかけて外弁基部に見られる白色部です。野外ではほとんど見えないものだと思いますが、この1個体しか揃えていないのですべての個体において見られるものなのかどうかは分かりません。よければお手元のコガモの次列風切を眺めて確認してみてください(笑)。
先端の白色部は細めで約3~4mm。
三列風切や写真は撮っていませんが肩羽に橙褐色の斑は見られないので非生殖羽と判断しました。

コガモ雌ad non-br(4)resize
翼鏡周辺は角度にもよりますが野外ではこんな感じで見えているはずです。

コガモ雌ad non-br(6)resize
次列風切S1のかすれ模様。書いていませんでしたが、初列風切の淡色の羽縁は内側のものほど幅広くなっていました。

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初列雨覆、小翼羽
白バックなので分かりづらいですが淡色の不明瞭な羽縁がありました。1枚だけ拾ったらサイズでなんとなく絞れそうな気もしますが難しそうです。

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大雨覆
先端の淡色部は内側にいくにつれ細く羽縁状に変化し、橙色みが強くなります。

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中雨覆、小雨覆
撮ってはみたものの、さすがにどうしようもなさが出てきました(苦笑)。僕は拾ってパッと識別できる自信がありません。

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下初列雨覆、下大雨覆
まあこんなもんかと・・・。下雨覆ってカルガモなんかは換羽期に他の羽根と一緒にボロボロ落としてる印象ですが、冬場水辺に落ちている羽根たちを眺めていても個人的にあまり落ちてた記憶がありません。繁殖地で換羽しているのでしょうか。
ちなみに冬場水辺に落ちてるカモ類の羽根は体羽、内側次列風切、三列風切、尾羽がほとんどを占めているイメージです。どれも秋~春の換羽を考えると納得がいきますね。

参考:決定版日本のカモ識別図鑑

ヒドリガモの次列・三列風切

いろいろと忙しく放置してしまっていました。お久しぶりです。
前回の続きということでヒドリガモの次列・三列風切です。
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ヒドリガモ雌 幼羽→第一回生殖羽 次列風切
思ったよりオカヨシガモに似ていますが手持ちのと比べると先端の白色部の出方が少し違います。大きさもオカヨシガモの方がひとまわり大きいので手掛かりになりそうです。
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三列風切
雌成鳥の生殖羽は三列風切に模様がでます。摩耗していることや雨覆は羽縁が目立たないことなどから雌幼鳥と考えました。
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黒バックも。

ヒドリガモの初列風切

遅ればせながら明けましておめでとうございます。不定期ですが更新していきたいと思いますので今年もよろしくお願いします。

さて、先日入手したヒドリガモの風切です。この個体には若干雄化っぽい特徴が見られ気になったので少し教えてもらったりしました。初期雄化なのかなとも考えましたが結局よく分からず。カモは本当に難しく僕も全然分かりませんが笑

ヒドリガモ 雌幼羽→第1回生殖羽 初列風切
他のカモ類との識別は困難を極めそうです。カルガモ以外のカモで初列を一式揃えているのが以前あげたオカヨシ雌しかないのでなんとも言えませんが、とりあえずオカヨシ雌幼羽→第1回生殖羽と比較してみました。大きさはほぼ一緒です。
・内弁の白色部
オカヨシ・・・先端を除く内弁全体には入り、基部にいくほど白い。グラデーションは基部→先端、内弁羽縁→羽軸へ濃くなる。
ヒドリ・・・内弁基部のみに入る。境はオカヨシと比べ不明瞭。
・まだら模様
オカヨシ・・・内弁羽縁にかすかに入る。
ヒドリ・・・白色部全体に明瞭に入る。
・外弁と内弁の色の境
オカヨシ・・・明瞭。 ヒドリ・・・不明瞭。
・P10の外弁
オカヨシ・・・先端以外は内弁と同じ淡色。
ヒドリ・・・内弁よりは濃く先端と同じ色。
・内側初列風切の先端
オカヨシ・・・無斑。
ヒドリ・・・汚白色の斑がある。
こんな感じでしょうか。気付いた点は全部書きましたが1個体ずつを比較したにすぎないので雌雄や年齢、個体差などで変わってくるかと思いますし参考程度にしかならないでしょう。

また他のカモ類も揃ってきたら改めてまとめ直したいと思っています。

思っていたより長くなってしまったので続きはまたにします。

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オシドリ雄の羽根

先日高校のビオトープで拾ったオシドリの羽根。
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体羽ばかりが散乱していました。オオタカにでも襲われたのでしょう。雄のものですが、冬羽とエクリプス両方の羽根が含まれていたので冬羽からエクリプスに移行中の個体だと思います。
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カールがきついので角度を変えてもう1枚(笑)。カモ類によくみられるちりめん模様の羽根はオレンジがかって綺麗です。白黒の縞模様のは胸と脇腹の境の縞の部分のようです。
それにしても、こんな時期にオシドリがいたとは少しびっくりしました。
プロフィール

ICHI

Author:ICHI
鳥取県在住の生き物好き大学生。
西日本を中心に野鳥観察、羽毛収集などをしています。
生き物ブログのつもりで始めたはずが、気付けばほぼ羽ブログに。誤同定などありましたらご指摘頂けると幸いです。
写真の無断使用は固くお断りします。

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